コラム

Column

蹞訪 ~株式会社CommuniT 金子 祐徳さん~

知人の社長様へインタビューをさせていただく「蹞訪」 第8回です。

第1回の「乳菓子屋株式会社 佐藤 憲史郎さん」はこちらから

第2回の「株式会社TAS ART 田崎 新二さん」はこちらから

第3回の「株式会社マスナガ 森 弘国さん」はこちらから

第4回の「株式会社アセット 國元 祐介さん」はこちらから

第5回の「ベトナムトレーディング株式会社 澤村 友里さん」はこちらから

第6回の「有限会社all-get 友口 賀南子さん」はこちらから

第7回の「鈴木電設株式会社 鈴木 健太さん」はこちらから

 

「この人の話を聞いてみたい」と思った社長さんへ色々と質問をぶつけさせてもらい、そこから学びを得ていく企画「蹞訪」(きほう)。当社の企業理念でもある「蹞」(ひとあし)は、そういう小さな1歩を大事にしようという想いがありますので、「どうやって事業を成長させたか」というサクセスストーリーよりも、「明日からこれを自社でもやってみよう」と思える取り組みにフォーカスした記事にしていきたいと思います。

 

第8回目のゲストは、、、

第8回目には、株式会社CommuniT 代表取締役 金子 祐徳さんにご登場いただきました。

 

<企業概要>

熊本市中央区大江にある「AMIG 2nd(アミッグセカンド)」を拠点に、オリジナルTシャツやウェアの企画・プリント制作を行う会社です。Tシャツやトレーナー、アウターといった各種ウェアから、キャップ、トートバッグなどの各種グッズまで豊富なラインナップを展開。インクジェット、シルクスクリーン、昇華転写などの多彩な印刷技術に加え、高品質な刺繍にも対応しています。2018年に個人事業として創業後、2022年に法人化されました。

 

<従業員数>

株式会社CommuniT

役員 2名

社員 3名

パート 2名

 

<岡村との関係>

私が参加している「熊本イノベーションベース(KUIB)」でご縁がありました。年齢が同い年ということもあり、1987年生まれの経営者の会「87年会」でも仲良くさせてもらっています。弊社のユニフォームも、Tシャツ、ロンT、ボタンシャツ、パーカー、スウェット、ジャケットとパンツのセットアップなど、とにかく様々な自社のオリジナルウェアを作ってもらいました。創業からの年数、社員の規模などが当社と近いこともあり、切磋琢磨しながらお互いに成長できている戦友のような存在です。今回のインタビューも快く引き受けてくださいました。

 

 

お題:社員の採用に関して取り組んでいること

まずは創業の経緯や現在の事業についてお聞かせください。

金子 「大学を卒業して、地元の大手印刷会社で働きました。商業印刷、ノベルティ、Tシャツなどの印刷技術やノウハウを学ばせてもらいましたし、責任者としてプリントショップの立ち上げなどにも携わることができて、良い経験をさせてもらえたと思っています。」

岡村 「創業後は順調でした?」

金子 「開業当時は、今のような機材もなかったので、ほぼ印刷物の営業をしていました。名刺、チラシ、ノベルティなど”印刷”と名の付くものは全て手を受けてました。いや~全っ然、儲からなくて笑 転機は、熊本創生起業家ネットワーク(現・KUIB)で”あなたは何屋さんですか?”という質問をされて、答えれなかった時でした。そこから自分が好きなウェアプリントに絞っていこう!と決めました。」

岡村 「そこから現在の事業につながったんですね。」

金子 「絞ったことによって顧客への認知も広がり、売上も少しずつ増えていったので、ちょっとずつ機材にも投資できるようになってきました。創業して2年後の2020年に、勇気を出して現在の拠点に移転したのも大きかったですね。当時は私と妻と同級生と2名のパートで合計5人体制だったので、完全にオーバースペックだったと思いますが、熊本創生起業家ネットワーク(現・KUIB)で学んでいたので、成長するためには必要な挑戦だと思い、思い切って投資することにしました。」

岡村 「その気持ちはめちゃくちゃ分かります笑 これじゃダメだと気づかされますもんね笑」

 

将来のビジョンをお聞かせください。

金子 「競合他社は個人経営や家族経営が多いので、今まで自社の成長を考える上での目標は”熊本で一番のTシャツ屋さんになろう”でした。今は、ちゃんと会社組織として機能させていくことで九州でトップ3のシェアを取りたいと思っています。」

岡村 「いいですね! それに向けた課題ってありますか?」

金子 「人ですかね。 AIとかを使って社内の業務効率化ができたり、お客様が自分でデザインとかは出来るようになっていくと思うんですが、最終工程でシャツなどのアイテムにプリントや刺繍すること自体は機械を使うとはいえ、人がやらないといけません。 またお客様とのやり取りの初期段階で、生地やウェアの形を提案するのにも人が必要です。手触りや着心地は体感してみないと分からないこともあると思うので。」

 

「人が課題」ということで、『採用』という観点からお話を聞かせてください。

金子 「最初は店舗移転前に妻の友人をパートとして採用したところがスタートでした。そのパートさんがまた知人を紹介してくれました。その次は自分の弟を採用しました。なので序盤は、リファーラル採用がメインでしたね。しかしその後、社員の退職があったので、初めてIndeedを使ってデザイナーさんを採用をしました。能力的にすごく優秀だったのですが、入社する前からスキルアップ転職で『デザイン会社へ転職したい』ということは聞いていたので、その方が退職するタイミングで、またIndeedを使ってデザイナーさんを採用しました。あとは、デザイン系の専門学生が勉強のために働かせてほしい、と言って応募してきたのでアルバイトで雇ってみたり、事業の成長に伴って人員が必要になって、Indeedで社員を1名採用しました。その後にも社員をもう1名採用しましたが、この人に関しては、もともとはお客さんだった人で、ホームページの求人を見て応募してくれた、って感じです。」

岡村 「このビジネスモデル・業界で、創業して8年くらいで10名の採用ってすごいですね。辞めた方と退職理由って教えてもらえますか?」

金子 「10名中5名は現在でも働いてくれています。残念ながら退職してしまった5名のうち、1名は前述したデザイナーさんです。専門学生は卒業とともに就職したので辞めました。残り3名に関しては、採用時点でマッチングしていなかったことや、弊社の将来に不安を感じたり、というところでしょうか。」

 

「失敗のシェア」と「成功のシェア」

岡村 「なるほど、2名は納得の退職で、3名が失敗かな、という感じですかね?振り返ってみると、何が失敗要因だと思いますか?」

金子 「3名のうち、1番の失敗は採用時点でのミスマッチが起きていたことです。弊社は、広告費をそんなにかけているわけではないのですが、Indeedに出すとけっこうな応募件数が来て、その中から良さそうな人を選んで採用が出来ていました。しかしその時は求人を出しても応募が少なかったので、比較検討することが出来てませんでした。でも人材は必要だし、ということで焦って採用したことが要因だと思います。 それ以降は、うちで働く上でのマイナスの面も面接時に伝えるようにしてマッチングの精度を上げるようにしています。」

岡村 「裏を返せば、10名中5名は今も働き続けています。 採用の世界では打率5割は成功とか上手くいっていると言っていい数字だと思いますが、何が成功の要因だと思いますか?」

金子 「いや~、それがね分からないんですよ笑  うちで働いてくれているのは、みーんないい子ばっかり。 割と学歴も良く、地頭も良い子ばかりなので、本当に助かっています。採用選考のプロセスとしても、特別なことはしてません。基本的には中途採用なので、まず履歴書と職務経歴書を送ってもらって、書類選考をします。その後、良さそうな人とのみ面接を行います。書類選考も面接も代表取締役の私と、取締役の妻で話し合って決めますが、意見が割れることもそんなになくて。」

岡村 「いやいや笑 なにかあるでしょ?」

金子 「労働環境が良いんですかね? 自分で言うのもちょっと気が引けるんですが、辞めないのは採用が上手くいっているというよりも、働く環境を気に入ってくれているからかもしれないです。 例えば、スタッフ同士の仲は良いです。ただ、なれ合っているわけでも無く、仕事を通じて成長を実感できるのが楽しいという感じがします。成長というのは、自分自身のスキルアップ(出来ることが増える)もそうですけど、会社としての受注量が増えていることだったり、有名人やスポーツクラブのお仕事をいただける会社になったということもあると思います。 あとはスタッフとからよく聞くのは、『昨日、下通で私がデザインしたウェアを着ている人を見ました』みたいなことだったり、私からもよくスタッフには『この間、納品したお客様からこういうメッセージが届いたよ』とお客様が喜んでいることを共有してます。大きく何か、ということよりも日常の業務の積み重ねの中で『働きがい』を感じることが出来ているので、離職が少ないのかもしれません。 あ! あと、普通は退勤するスタッフには『お疲れさまです!』と言いますよね? 私は『今日もありがとうございました!』と言うようにしてます。」

岡村 「なるほど、採用の成功というよりは、職場の環境づくりの成功である、と。それを社長が先頭に立ってやっているのは素晴らしいですね。」

金子 「採用の観点から言うと、日常的にSNS等で情報発信はやっているので、会社や働く人がどんな雰囲気なのかは掴みやすいのかもしれません。あと、面接のときに聞くようにしているのは、『服が好きか』です。この仕事は好きな人の方が成長も早いので。 単純に好きなことに仕事で関わることが出来ているというのも、長く働いてくれるモチベーションにはなっているのかもしれないですね。」

 

 

熊本マーケティング研究所に対して一言頂きました。

岡村 「では、恒例なのですが、最後に弊社に一言いただくようにしています。」

金子 「今、新しく始めるサービスを手伝ってもらってますが、クライアントである私たちと同じ目線で考えてくれるスタンスが嬉しいし、助かってます。一般的に『コンサル』と呼ばれる業務領域かもしれませんが、思っていたよりコンサルじゃなく、『伴走』をしてもらっていると感じてます。」

岡村 「非常に嬉しい言葉を笑 今日は貴重なお時間をありがとうございました。」

 

感想

なんと、前回から約3年ぶりにこの「蹞訪」で取材を行いました。まず、久しぶりにやってみて非常に刺激になりましたし、勉強になりました。今回のTAVは、「働く環境を良くする」ということです。

弊社がInMarkというサービスで採用のサポートをさせていただいていますが、そこで重要視しているのは『採用時のマッチング精度』でした。採用時に自社と会う人とマッチングしていれば離職率が下がる=長く活躍してくれる、と思っていました。おそらく各社に暗黙知のような形で「求める人材像」はあるはずですが、言語化されていないと思うので、そこをサポートするのがInMarkというサービスです。しかし、それ以上に働く環境が良いことで離職が少ない、という当たり前のようで見落としがちな所に目を向けることが出来ました。弊社にも採用に関するご相談をいただくことがありますが「どうやったら求人に応募が来るのか」「どうやったら自社と会う人が採れるのか」というお悩みが多いです。しかし、『そもそも入りたいと思える会社になっていますか?』『長く働きたいと思える職場の環境になっていますか?』というのは、経営者ならば問いとして持っておかないといけないですね。

最後に、予定では1時間の取材だったのですが、色々と話を聞きすぎてしまい30分くらいオーバーしたにも関わらず、最後までアツい熱量で話してくれた金子さんに感謝をして結びとしたいと思います。