社会福祉施設等の災害復旧費国庫補助金
災害によって被害を受けた社会福祉施設等の建物を復旧するための国庫補助金です。九州厚生局が災害査定を担当し、査定結果として認められた復旧事業費を上限として国庫補助が実施されます。
スケジュール
九州厚生局が公表している制度案内には、申請期間や提出期限の記載がありません。この補助金は特定の公募期間を設けて募集する形式ではなく、災害が発生するたびに、その災害ごとの協議期限が都道府県・指定都市・中核市を通じて案内される仕組みになっているためです。
実際の手続きの起点は「国庫補助協議」であり、被災施設から都道府県又は市へ、都道府県又は市から九州厚生局へと協議書が回ります。したがって、期限を確認する先は九州厚生局ではなく、施設が所在する都道府県又は市の担当課となります。
手続きの全体の流れは次のとおりです。まず被災施設から市町村を経て県・市へ被害状況報告が行われ、県・市から九州厚生局へ国庫補助協議が提出されます。次に、被災施設、県・市、九州厚生局、地方財務局の間で実地調査の日程が調整され、九州厚生局と地方財務局が被災施設に対して実地調査(災害査定)を実施します。その結果が本省各所管課に報告され、予算の手当てを経て、被災施設から県・市を通じて交付申請・決定・実績報告へと進みます。
社会福祉施設等の災害復旧費国庫補助金とは
「厚生労働省所管補助施設災害復旧費実地調査要領」及び「こども家庭庁所管補助施設災害復旧費実地調査要領」に基づき、査定官(九州厚生局)及び立会官(財務局)により災害査定を実施し、査定結果として認めた復旧事業費を上限として国庫補助を行う制度です。
この補助金は、基本的には建物を復旧するための補助金です。備品等は対象となりません。ただし、一部の施設種別を除き、建物と一体的な設備(排水・給水設備、空調設備等)は対象となります。
目的
暴風、洪水、高潮、地震その他の異常な自然現象により被害を受けた社会福祉施設等の災害復旧に要する費用の一部を国が補助することにより、災害の速やかな復旧を図り、施設入所者等の福祉を確保することを目的としています。
対象者
「実地調査要領」に定める施設のほか、次の3つの区分に定める施設の設置者が対象です。
第一に、「社会福祉施設等災害復旧費国庫補助の協議について」(平成21年2月13日雇児発第0213001号、社援発第0213003号、老発第0213001号)の別紙「社会福祉施設等災害復旧費事務取扱要領」に掲げる施設の災害復旧事業です。
第二に、「保健衛生施設等災害復旧費国庫補助の協議について」(平成25年12月16日健総発1216第2号)の別紙「保健衛生施設等災害復旧費事務取扱要領」に掲げる施設の災害復旧事業です。
第三に、「児童福祉施設等災害復旧費国庫補助の協議について」(令和5年6月20日こ成事333号)の別紙「児童福祉施設等災害復旧費事務取扱要領」に掲げる施設の災害復旧事業です。
補助上限額
補助率は、「社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金交付要綱」、「保健衛生施設等災害復旧費国庫補助金交付要綱」及び「児童福祉施設等災害復旧費国庫補助金交付要綱」において、施設の種類ごとに定められています。したがって、すべての施設に共通する単一の補助率という形にはなっていません。
なお、当該災害が「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」により激甚災害として指定された場合には、国の補助率の変更があり、通常の交付要綱とは別に交付要綱が策定されます。被災した災害が激甚災害に指定されているかどうかで、適用される補助率が変わる可能性があります。
補助金の上限額については、九州厚生局の案内に具体的な金額の記載がありません。制度上、災害査定で認められた復旧事業費が上限となる仕組みであるため、あらかじめ一律の金額が示される形にはなっていません。
各枠についての概要
申請枠の区分はありませんが、対象経費の種類ごとに金額の下限が定められており、これが実質的な区分として機能しています。
まず、施設整備(本体工事費、冷暖房工事費、施設と一体的な設備費等)については、災害復旧費の調査額が1件につき80万円以上であることが必要です。ただし、感染症指定医療機関及び市町村の設置する火葬場、と畜場については40万円以上、保育所及び幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園については30万円以上とされています。
社会福祉施設等を一箇所で複数運営する施設(複合施設)については、複合施設全体で調査額80万円以上であることが必要です。複合施設の調査額が80万円未満の場合であっても、複合施設内の保育所、幼保連携型認定こども園及び幼稚園型認定こども園については、30万円以上であれば対象になります。
このほか、幼保連携型認定こども園(学校教育部分)及び幼稚園型認定こども園(学校教育部分)にかかる借用土地等災害復旧事業は調査額が1件につき30万円以上、公立の幼保連携型認定こども園(学校教育部分)及び幼稚園型認定こども園(学校教育部分)にかかる降灰除去事業は、都道府県立学校においては調査額が1学校につき60万円以上、市町村立学校においては30万円以上とされています。
補助対象となる経費
1 施設整備 本体工事費、冷暖房工事費、施設と一体的な設備費等が該当します。
2 借用土地等災害復旧事業 幼保連携型認定こども園(学校教育部分)及び幼稚園型認定こども園(学校教育部分)に係るものに限られます。
3 降灰除去事業 公立の幼保連携型認定こども園(学校教育部分)及び幼稚園型認定こども園(学校教育部分)に係るものに限られます。
対象外となるものは次のとおりです。一部の施設(老人福祉センター等)においては、施設と一体的な設備であっても補助対象外となります。また、施設と一体的ではない設備(備品、送迎バス等)は補助対象外です。ただし、幼保連携型認定こども園及び幼稚園型認定こども園の教材、教具、校具等は補助対象となります。
主な注意点
第一に、この補助金は施設が単独で手続きを進める制度ではありません。被害状況報告も国庫補助協議も、都道府県・指定都市・中核市を経由します。県市以外の市町村については、県を通して本省又は九州厚生局に報告する仕組みですので、まずは県に報告することになります。被災したらできるだけ早く、所在する自治体の担当課に連絡することが最初の一歩です。
第二に、金額の下限に注意が必要です。調査額が1件につき80万円(施設種別によっては40万円又は30万円)以上でなければ対象になりません。
第三に、収入の控除があります。「厚生労働省所管補助金等にかかる寄付金その他の収入の取扱いについて」(令和5年8月14日会発0814第7号)及び「社会福祉施設等災害復旧費における保険金等収入の控除方法について」(令和5年8月28日事務連絡)により、保険金等の収入は控除して取り扱われます。保険で復旧費用がまかなわれる部分は、補助の対象から外れることになります。
第四に、災害査定という手続きがある点です。九州厚生局と地方財務局が実際に現地を確認し、そこで認められた復旧事業費が国庫補助の上限になります。査定に備え、被災状況を客観的に示す資料を整えておくことが重要です。
公式サイトURL
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/kenko_fukushi/saigai.html