コラム

Column

時流を読む~採用について〜

はじめに

熊本マーケティング研究所の高宗です!今月は久々に日経MJをコラムにしていきます。今回は採用について様々な取り組みをしている記事を特集していきます!

 

面接の新潮流:面接官ガチャを超えて

就職活動は、多くの学生にとって人生を左右する重要な局面です。しかし、その運命が面接官によって大きく左右されることがあり、「面接官ガチャ」と呼ばれる不確定要素に対する不満や不安が高まっています。この問題に対処するため、企業の間で新しい試みが見られるようになってきました。

学生が面接官を選べる!

ある企業が導入した「面接官を選べる」新制度は、SNS上での一つの投稿から始まりました。それは、「第1希望が面接官ガチャで終わった」という新卒候補者の不満の声でした。この声を聞き、新卒採用を担当する執行役員は、面接の不公平さに気づき、改革を決意しました。「面接官が候補者について知っている一方で、候補者は面接官について何も知らないのは不公平だ」と学生が面接官を選べるようにすることで、より開かれた対話が可能になると考えました。面接官の選択肢は多岐に渡り、それぞれが独自の職歴や人生経験を持っています。例えば、縄文時代の住居作りのバイト経験がある社員や、SNSブランディングに注力してミスターコンテストで準グランプリを獲得した社員など、個性豊かな面接官たちが候補者の選択肢となります。この多様性が、学生にとってより適した面接官を見つける手助けとなりました。この制度により、1次面接を受けた学生の約9割が自分で面接官を選択。この結果、面接の前には、企業の社員プロファイルや仕事への姿勢を調べることが増え、学生の企業理解が深まったそうです。、企業側が一方的に情報を提供するのではなく、学生が能動的に関与することで、自然と企業への理解と関心が深まったと、導入した企業は評価しています。

出展:5月1日 日経MJより

6割が本音を言えない

就職活動中の学生が直面するプレッシャーは計り知れないものがあります。ワンキャリアの調査によると、不採用の不安から本音を偽る学生が62%にも及び、約4割が逆質問で聞きたいことを聞けなかった経験があると回答しています。このような状況に対応し、学生と企業の情報非対称性を緩和するため、複数の企業が「面接官を選べる」制度を導入しました。この制度は、学生にとっては自分らしさを出しやすく、面接における不安を減少させる一方で、企業にとっては多様な才能を引き寄せ、離職率を低減する効果があります。例えば、新日本製薬は「直感面接」と称し、行動力があり新しいものにアンテナを高く持つ学生が集まり、結果として離職率も低下しました。このように導入した企業は採用時のマッチング精度が向上したことも評価しています。

問題点について

面接官を選べる仕組みにも問題点はあります。それは一部の面接官に人気が集中することや、面接官と気があう学生ばかりを採用して、組織が同質化しないかということです。この問題点を解決する上で、特に気を付けるべき点は、社員に自社の経営理念や採用方針を上層部がしっかり教育することです。また、面接時の確認項目や面接の記録をどう残していくなどの仕組み作りが重要です。それが出来ていなければ「なあなあの面接」になってしまいます。企業側も下地を整えて望む必要があります。

まとめ

面接官を選べる制度は、採用プロセスの改善を超え、企業と候補者がお互いを深く理解し合う機会を提供するものです。このような対話の場が、よりフィットした雇用の機会を生み出し、双方にとって有益な関係を築く第一歩となり得るのではないかと思います。採用においては、マッチングの精度を高めることが非常に重要です。特に中小企業では、一人の採用ミスが大きな痛手となることもあります。多くの企業が求人に応募してもらう方法を考えがちですが、自社の採用プロセスを見直すことも同じくらい重要です。弊社では、採用に関するサポートサービスを提供しています。興味のある方は、以下の記事もぜひご覧ください。

>>熊本マーケティング研究所のインナーマーケティングサポート「InMark:採用」を解説! | 熊本マーケティング研究所

 

私ハデ髪、だから接客花まる

近年、日本の職場での「派手髪」への許容度が高まっています。日本ロレアルが推進する「#髪色自由化プロジェクト」に賛同する企業数は、発足から1年で約3倍に増加しました。日経MJの調査によれば、5年前に比べて派手髪を許容する人が約3割に上り、接客業の従業員が派手な髪色をしていても気にならないと感じる人が約7割に達しています。この流れは、個性を尊重する現代の価値観と一致してきています。

スターバックスコーヒージャパンが先駆け

同社は以前はダークブラウンなどを髪色基準としていたが、2021年に完全自由化にしました。その結果、従業員からは肯定的な声が多く聞かれ、明るい髪色がコミュニケーションのきっかけになることもあり、職場の雰囲気向上に寄与しているようです。お客様からも、「髪色きれいだねと」声かけてもらうなど、会話のきっかけになることもありプラスの要因が大きいとそうです。

採用の押し上げ効果

ディスカウント店「ドン・キホーテ」も、2022年に髪色規定を撤廃しました。その結果、アルバイトの応募が3割増えたそうです。規定があった頃は夏休みに黒染めスプレーをして働く高校生や大学生が多くいましたが、そのままの髪色で働ける環境が魅力になっています。スターバックスも手応えを感じており、23年に店長1400人にアンケートしたところ、66%が「ドレスコードの改訂が採用につながっている」と回答しています。髪色を変える機会が多い美容系の学生などから「働けるようになった」という意見もあったそうです。

髪色自由のハードルを越えるには

日本の職場での髪色自由化についての消費者の意見は一様ではなく、業種によって異なる反応が見られることが日経MJの調査から明らかになっています。特に「アパレル」「コンビニ」などのカジュアルな業種では髪色の自由化に対する受け入れが高い一方で、「医療関係」や「飲食業」などでは、顧客の安心安全を重視する声が多く、髪色に対する保守的な意見が強いことが分かります。このような状況を打開するためには、従業員が髪を染める場合に「一番元気な挨拶と好印象な接客を心掛ける」というルールを設けるなど、明確な指針を持って自由化を進めることが重要です。これは、髪色が派手でもその他の接客面で顧客に好印象を与えることで、不快感を抱く顧客を減らす戦略です。このように、髪色自由化が進む中で、各業種や職場の特性に応じた適切なガイドラインを設けることが、社会全体でのよりスムーズな受け入れにつながり、個性を尊重し多様性を受け入れる文化が日本の職場でも広がり、それが企業と社員双方にとってプラスの効果をもたらしていきます。

 

まとめ

このコラムでは、最近の髪色自由化の動向について特集しました。現在、多くの企業が人手不足に直面しており、時給を上げるなどして労働者を引きつけようと努力しています。ただ、時給を上げると人件費が増え、経費が増大する問題があります。そこで、時給の増加以外にもユニークな施策を実施することで、人手不足の解消につながるのではないかと思います。

ちなみに、以前働いていた飲食店でも髪色自由などになっており、個人的にすごく衝撃を受けました!時代の変化を感じますね……

 

最後に

今回の特集では、採用について深掘りしました。今後、労働市場の状況がますます厳しくなると予想されます。そうした状況の中で、企業がどのように採用戦略を工夫し、優秀な人材を確保していくかが非常に重要になってきます。最後にリクルート社が記事の中で「求人者をひき付ける最大のポイントは、実際に働いている従業員一人ひとりが仕事にやりがいや働きやすさを感じられているかどうか」と指摘しています。採用手法も大切ですが、自社も社員がどう働いているかを振り返ることも重要なのではないかと思います。