以前もコラムにしましたが、AIの登場によって世の中の「検索行動」は劇的に変化しています。 前回の記事ではユーザーの「検索クエリ(検索窓に入れるワード)」が長文化している傾向にあることや、「○○について詳しく教えて」といった詳細なニーズを入力する傾向にあることをお伝えしました。今回は、「AIに自社の情報を正しく拾ってもらい、選んでもらうためにはどうしたらいいのか?」という疑問に対して、実際に生成AI(Gemini)を使用してみた結果から考察していこうと思います。
※当記事は2025/12/17時点の情報を基に作成しています
熊本マーケティング研究所について教えて
まずは自社で試してみることに。Geminiに「熊本マーケティング研究所について詳しく教えて」というシンプルな指示を与えてみます。熊本マーケティング研究所をどのような企業として捉えているのでしょうか。
結果がコチラ 👇(長すぎるので一部)

実際はこの下もずらっと続いていきます。 内容を見ると、基本的には自社Webサイトの会社概要や事業内容をきれいに要約してくれているようです。AIはサイトの中身を読んでいることがわかります。では次に、少しプロンプト(指示)を変えて「熊本マーケティング研究所の評判を教えて」と聞いてみました。
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「評判」という問いに対して、AIがどこから情報を持ってくるのか。単にGoogleマップの口コミから抽出してくるのか気になりましたが、どうやらそれだけではない様子。熊本マーケティング研究所の場合は「実績ページ」を参照し、「評判(信頼性)」を推測して提示しています。 これを見るに、AIは単に星の数や口コミのテキストだけを見ているわけではなさそうです。さらに、公的機関の認定など「権威性」のある外部からの評価もしっかりと拾い上げていました。
AIの検索行動の裏側
前述のようなAIが回答を生成する裏側では、以下の4つのステップが行われているようです。
1.発見(Discover)
AI専用のロボットがWeb上の情報を探しに行く。
2.理解(Understand)
デザインなどのAIにとっての「ノイズ」を捨て、テキストの意味だけを読み取る。
3.接続(Connect)
読み取った情報を、AIの知識データベースと紐付ける。
4.生成(Generate)
ユーザーの質問に合わせて、信頼できる情報を組み合わせて回答を作る。
AIはこの一連の流れでユーザーの検索行動をサポートしています。 人間との決定的な違いは、「なんとなく雰囲気が良いWebサイト」などは評価しないという点です。AIは、デザインの綺麗さではなく、論理的に事実が積み上げられているかどうかで、そのサイトの価値を判断しています。
単なる点数ではなく、「論理」で評価している
従来であれば、「キーワードの出現頻度」や、口コミであれば「星が何個ついているか」という数値を重視して順位を決めていました。 しかし、AIはテキストの中身を読み取り、「論理的な推論」を加えて評判を測っているようです。たとえ口コミの数が少なかったとしても、AIは「実績ページ」や「公的機関の認定」といった客観的なファクトを積み上げ、推論を行って回答を生成していました。そのため「実績だけでなく」「お客様の声」や「クライアントインタビュー」「アンケート」といった自社独自のファクトを積み上げていくことも有効な手段となりそうです。
前回の記事とのつながり
ユーザーの検索キーワードが具体的になればなるほど、上記のAIによる推論能力の影響を受けやすいのではないでしょうか。 「○○ができる会社は?」と聞かれた時、AIは単に人気がある会社ではなく、「○○の実績がある」会社を選ぶでしょうし、完全一致する会社が無くても「これとこれができるなら、この会社は候補だな」という風に検索に引っかかる可能性が上がります。AIは感情ではなく、テキストから読み取れるファクトの積み上げを評価しています。 そのためWebサイトには「すごい」や「安心」といった形容詞だけでなく、「具体的な実績」「数値」「事例」等具体的な内容を掲載していく必要があります。
Webサイトをどのように整理するといいのか
では、AIに情報を正しく渡すために、Webサイトをどのように整理すればよいのでしょうか?
GeminiなどのAIにとっては「情報の構造」が重要なポイントです。 キーワードを含んだページを量産すればいいというわけではなく、イメージとしては「教科書や論文の構成」のように、各コンテンツがきれいな階層構造でつながっていることが重要なポイントとなります。例えば、「マーケティングサポート」という親カテゴリーがあり、その下に具体的な「各サービスの説明」がぶら下がり、さらにその証拠となる「実績」や、関連する「コラム」が紐付いている……という構造です。 こうすることで、AIは「この会社はマーケティングについて網羅的な知識と実績を持っている」と理解しやすくなります。また、ページ内部の構造も重要です。「h1・h2・h3」といった見出しタグを使いページ内の情報を整理することも、AIに好かれるポイントと言えます。
画像はどうする?
多くのWebサイトには画像が使われています。さすがに人間にとって、文字だけのサイトってキツすぎますからね。ではAIはこれをどう見ているのでしょうか?
AIは画像認識技術も向上していますが、Webサイトの文脈を理解する上では、やはり「テキスト情報」を優先して読み取っている様子。 そこで重要になるのが、画像の「代替テキスト(Alt属性)」や「ファイル名」です。Wordpressに画像をアップする際「面倒だから空欄にしている」「image01.jpgのままにしている」という方多いのではないでしょうか。かく言う私も、その一人です💦

AIに対して「これは○○のセミナーを行っている様子の写真です」とテキストで説明してあげる(Altテキストを入力する)ことで、AIはその画像をコンテンツの一部として正しく認識してくれるようになるため、心を改めて入力するようにしていかないとなと思います。
まとめ
今回わかったことは、AIは私たちが思っている以上に「Webサイトに書かれている事実」を細かく読んでいるということです。というか人間以上に細部まで読み込んで、そこから推測まで行っているということが分かりました。AIに情報を渡すという観点から考えると「サイトの階層構造を整理する」「画像のファイル名やAltテキストをサボらない」ということが大切であり、また情報を細かく具体的に出していくということが必要になります。これらは一見、「面倒だな」と思う地味な作業かもしれません。しかし、これからの時代においては「丁寧な情報の提示」こそが、ユーザーに答えを届けるためのルートになります。
まずはAIに自社のことを聞いてみるのも良いかもしれません。「もう提供していない商品やサービスの情報を拾ってきてませんか?」「事実と違うことを回答してきませんか?(ハルシネーション)」そうしたことが発生しているのであれば、修正が必要かもしれません。また、情報を整理するということは、AIだけではなく人間にとっても「見やすい」サイト設計に繋がります。熊本マーケティング研究所では、そうしたサイト全体の設計や運用から逆算したWebサイト制作を提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。