中小企業のマーケティングサポートや創業支援の中でよくご相談いただくのが「Web/SNSの運用」です。すでに取り組んでいる企業もあれば、これから力を入れていきたいと考えている方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。しかし、「ただ投稿を続けるだけ」では成果は見えづらく、いざ“運用”となると「何から手をつければいいのか分からない」という悩みがあるかと思います。Web/SNS運用に関する情報は、本やコラム、あるいは生成AIに聞いても数多く出てきます。ですが、これから始める方にとっては、その前段階の「どんな準備が必要?」「どんなツールがいい?」「無料でできるの?」といった、ツール選定や環境構築の段階で躓く方もいるのではないかと思います。そこで今回は、弊社で実際に活用している解析ツールと、その役割についてご紹介します。
Google Analytics 4(GA4)
GA4は、Googleが提供するWeb解析ツールです。これを活用することで、自社サイトに訪れたユーザーの数や行動を可視化できます。たとえば、「どのページがよく見られているのか」「そのページがなぜ多くの関心を集めているのか」といった仮説を立てたり、逆に「自社が見てほしいページはちゃんと見られているのか」といった検証に使うことができます。また、ユーザーがどの経路でサイトに訪れたのか(SNS、検索エンジン、広告など)も確認できるため、自社の施策がどの程度効果を発揮しているかを分析することが可能です。GA4の利用自体に月額費用などは発生せず、多種多様な分析が可能です。ただ、サイト内に「タグ」と呼ばれるコードを全ページに埋め込む必要があります。ご自身で設置が難しい場合は、制作会社や専門家に依頼するのがおすすめです。
■基本的な流入経路の種類
Organic Search(自然検索)
Googleなどの検索エンジンからの流入。検索窓に検索キーワードを入れて、検索行動をした結果、自社サイトに流入してきたユーザーを計測。
Direct(直接アクセス)
URLを直接入力、またはブックマークからの流入。
Referral(参照元)
他サイトのリンクからの流入。まとめサイトや、ポータルサイトなどからの流入が計測されます。
Social(ソーシャル)
SNSからの流入。
様々な数値や分析が可能なGA4ですが、その数値を見てどう判断するのか、また目標達成のために具体的にどんな施策をするのかは難しいポイントです。例えば「Organic Searchの数は、どのくらいを目指したらいいのか?」や「どんな施策で流入数を増やすのか?」というのは、自社の業界や潜在顧客の購買行動なども考える必要があります。
Google Search Console(サーチコンソール)
GA4が「サイト内での動き」を見るツールだとしたら、Google Search Console(サーチコンソール)は「サイトに来る前の状況、つまり検索の世界で何が起きているか」を把握するためのツールです。このツールを活用することで「どんなキーワードで自社サイトにたどり着いたのか」「どんな興味関心・ニーズがあるのか」「社名やサービスの認知度はどの程度か」などを調べることができます。こうした情報を把握することで、コラムで盛り込むべきワードや、広告・SNS投稿の訴求の方向性などを決める材料にしていきます。
例えば「熊本 マーケティング」で検索して、熊本マーケティング研究所のサイトにたどり着いている方が大半だった場合、顧客の潜在ニーズはあるものの自社の認知度は低いのかもしれないという仮説を基に施策を行うことになります。また、サーチコンソールでは流入数の他に表示回数も把握できます。表示回数は、検索窓にワードを入れて検索した際の検索結果として表示された回数です。仮に「熊本 マーケティング」で多く表示されているのに自社のサイトに流入する人が少ないという状況があった場合は、競合サイトに負けているポイントが何かある、あるいは自社の情報が出しきれていないという可能性が考えられます。またサーチコンソールの前に、自社サイトにたどり着くために検索して欲しいキーワード自体の検索ボリュームも重要となるためこちらも調べる必要があります。
Campaign URL Builder(キャンペーンURLビルダー)
より細かく流入を計測したい場合に便利なのが、Campaign URL Builderです。たとえば「チラシのQRコードからのアクセスを調べたい」や「チラシAとチラシB、どちらの反応が良いか比較したい」といったケースで役立ちます。このツールでは、URLの末尾に「パラメータ」と呼ばれる情報を付けることで、どの経路からのアクセスかを正確に把握できます。文章だと難しいかもしれませんが、広告をクリックした際に、普段使っているサイトでも広告経由だと「なんかいつもよりURLが長いな、偽サイトか!?」みたいなことってないでしょうか。それはこの「パラメータ付きURL」が貼り付けられているからになります。
例として、熊本マーケティング研究所のサイトのパラメータ付きURLを作成してみました。試しに以下のURLをクリックしてみてください。※怪しいリンクじゃありません!!
■通常URL
https://www.kumamoto-marketing.co.jp/
■パラメータ付きURL
https://www.kumamoto-marketing.co.jp/?utm_source=KML&utm_medium=column&utm_campaign=column
どちらも同じページを表示したと思いますが、GA4では後者のURLをクリックしたユーザーを「KML経由」として識別できます。このように、Campaign URL Builderを活用することで、チラシや広告、SNSキャンペーンなど特定施策の効果測定が可能になります。「AキャンペーンとBキャンペーンの比較」など、より精度の高い解析に役立つツールです。
さいごに
今回はWeb/SNS運用をこれから始めるという方向けに、熊本マーケティング研究所でも使っているGoogleのサービスを一部ご紹介しました。運用の中身の話の前に、そもそものツール選びや環境構築の部分をハードルに感じることは良くあることかと思います。こちらのコラムをご参考にしていただけると幸いです。
また、運用の準備ができても「数値をどう判断するのか」「具体的にどんな施策を行うのか」はとても難しいポイントです。1人では無理かも、、、という方は熊本マーケティング研究所までご相談ください!