2025年、ミッフィーは誕生70周年を迎えます。この特別な年に、世界中で愛され続ける小さなうさぎの女の子、ミッフィーの魅力を、深く掘り下げてみましょう。その純粋なデザイン、温かい物語、そして作者ディック・ブルーナの哲学に触れることで、ミッフィーがなぜこれほどまでに多くの人々の心を捉え続けるのか、その秘密に迫ります。
<70周年の特設サイト>
作者ディック・ブルーナの生涯とミッフィー誕生の物語
ミッフィーの生みの親であるディック・ブルーナは、1927年にオランダのユトレヒトで生まれました。グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートさせ、家業である出版社のデザインを数多く手掛けました。彼が手がけたペーパーバックシリーズ「ブラック・ベア」は特に有名で、そのシンプルで力強い線と鮮やかな色彩は、後のミッフィーにも受け継がれていくことになります。
<ディック・ブルーナ年表>
-2001年 オランダ王国より王室勲章「オランダ獅子勲章コマンデュール章」を受章。
-2006年 ユトレヒトに自身の作品を専門に展示する美術館「ディック・ブルーナ・ハウス」(現「ミッフィー・ミュージアム」)がオープン。
-2011年 アムステルダム国立美術館にポスターなど120点を寄託。
-2015年 世界的にミッフィー誕生60周年を記念する展覧会が開かれる。
-2017年 2月16日永眠。享年89歳。
<ディック・ブルーナ>
<ブラック・ベア>
1955年、ブルーナは息子に、休暇で訪れた海辺で見かけた野うさぎのお話を聞かせてあげました。この小さな物語が、ミッフィーの最初の絵本『ちいさなうさこちゃん』を生み出すきっかけとなります。この絵本は、オランダ語で「nijntje(ナインチェ)」というタイトルで出版されました。「nijntje」は、オランダ語で「小さなうさぎちゃん」を意味する「konijntje(コネインチェ)」が、子どもが発音しやすいように短縮された愛称です。ミッフィーという名前は、絵本が英語に翻訳された際に付けられたものです。
ナインチェからミッフィーへ、時代とともに変化したデザイン
ミッフィーのデザインは、70年の間に少しずつ変化してきました。初期の『ナインチェ』に登場するミッフィーは、今よりも耳が斜めに描かれ、顔が横向きのものが多く、より動物らしい印象でした。
しかし、ブルーナは「子どもの想像力をかき立てるには、できるだけシンプルでなければならない」という信念のもと、線の数を減らし、色を限定し、デザインを洗練させていきました。
<nijntje(ナインチェ)>
1963年の改訂版以降、ミッフィーは正面を向いた顔とまっすぐに立った耳という、私たちがおなじみの姿になりました。このシンプルなデザインには、「子どもたちと正直に向き合いたい」というブルーナの深い愛情が込められています。横を向かず、常に読者と目を合わせることで、ミッフィーは子どもたちの信頼を築いてきました。
<現在のミッフィー>
ブルーナカラーが織りなすシンプルで豊かな世界
ミッフィーの絵本を彩る色は、厳選されたわずか6色で構成されています。これを「ブルーナ・カラー」と呼びます。
- 赤:喜びや楽しさ
- 黄:明るさ
- 緑:安心感
- 青:悲しみや静けさ
- 茶:落ち着き
- グレー:バランス
これらの色は、それぞれが持つ意味を際立たせつつも、隣り合った時に互いを引き立て合うように計算されています。シンプルな線と色彩の組み合わせは読者の想像力に働きかけ、物語をより豊かにする役割を果たしています。また、ブルーナの線は「まるで心臓の鼓動のように、いつも少し震えている」と言われています。手描きで描かれた不完全な線は、ミッフィーに温かみと生命力を与え、見る人の心に深く響くのです。
シンプルだからこそ、子どもに伝わる
ミッフィーの絵本が子どもたちに愛され続けるのには、ブルーナが絵本に込めた特別な哲学が関係しています。ブルーナは、子どもたちを対等なひとりの人間として尊重し、決してごまかしたり、複雑な表現をしたりしませんでした。
たとえば、ミッフィーは笑う時も泣く時も、顔は正面を向いたままです。複雑な表情を排除することで、子どもたちはミッフィーの感情を、物語の状況や声のトーンから想像する練習をします。これは、想像力を育む上で非常に重要なプロセスです。また、ミッフィーの物語は、日常の小さな喜びや、時には悲しみ、不安といった感情を、正直に、そしてまっすぐに描いています。おじいちゃんが病気になる話や、ミッフィーが泣いてしまう話など、子どもたちが人生で初めて直面する感情を、ミッフィーと一緒に体験することで、感情の多様性を学び、共感する心を育んでいきます。
ミッフィーの絵本は、子どもたちが世界を理解し、心を育んでいくための、最初の教科書なのです。そのシンプルさが、かえって子どもたちの豊かな感性を引き出し、時代を超えて読み継がれる理由の一つとなっています。
ミッフィーの物語を彩る個性豊かな仲間たち
ミッフィーの温かい世界は、彼女を取り巻く個性豊かな仲間たちによってさらに広がります。彼らはミッフィーの成長を見守り、物語にユーモアと彩りを与えてくれます。
遠い国に住むミッフィーの文通相手。茶色いうさぎの女の子で、ミッフィーとは特別な友情で結ばれています。飛行機に乗ってミッフィーに会いに来たこともあり、「にーなちゃん」とも呼ばれます。
ダーン
ミッフィーの隣の席に座る、転校生の男の子。片方の耳がたれているのでクラスメイトに「たれみみくん」と呼ばれていましたが、ミッフィーは名前で呼ぼうと提案しました。
ボリスとバーバラ
冒険心いっぱいで少しおっちょこちょいなくまのボリスと、しっかり者のガールフレンド、バーバラ。ブルーナの奥さんは「ボリスはあなたのようだわ」と語ったそうです。
ポピーとグランティ
ぶたのポピーと、姪のグランティ。「うたこさん」「ふがこちゃん」とも呼ばれます。買い物、庭仕事、一人旅など、日常を大切に過ごすポピーは、グランティに慕われています。
スナッフィー
勇敢なスナッフィーは、3匹の子犬のお母さん。ブルーナの飼っていた犬をモデルに描かれました。「くんくん」とも呼ばれます。
やん
こちらは絵本『おひゃくしょうのやん』に登場する主人公の「やん」。他にも『ろってちゃん』『ぴーんちゃんとふぃーんちゃん』『おーちゃんのおーけすとら』など、男の子や女の子が登場する絵本は数多くあります。
茶色いうさぎのメラニーの事は、ずっとミッフィーちゃんの日焼けバージョンだと思ってました。こうやってみんなのプロフィールを知っておくと、ガチャガチャでミッフィー以外のキャラクターが出ても、つい「チッ」ってならずに、「あ、〇〇が出た!」って思えそうです。
ミッフィー70周年記念グッズ
2025年は、ミッフィーの70周年を祝う特別なグッズが数多く登場しています。初期の「ナインチェ」のデザインを忠実に再現したぬいぐるみ。懐かしさと新鮮さが共存する、ファンにとって特別なアイテムです。
記念展限定グッズ
全国各地で開催される「誕生70周年記念 ミッフィー展」では、展示の感動を持ち帰ることができる限定アイテムが500種類以上も販売されます。
ミッフィー展のビジュアルがとても可愛い!
グッズが盛りだくさんで、どれもとても可愛らしいです。
他にもアパレルブランドとコラボしたnijntje(ナインチェ)グッズが続々出ています。
私とミッフィー
私とミッフィーの出会いは、いつだったか記憶が定かではありません。気がついた頃にはブルーナの絵本を読んでました。特に印象に残っている思い出は、赤ちゃんだった妹に絵本を渡した時のことです。当然赤ちゃんなので絵本を読むという概念が無く、ページを破ったり、口に入れてしゃぶったり、あっという間に大切な絵本はボロボロになりました。
大人になった今、私はまたミッフィーの魅力に惹かれ、グッズを集めています。
そんなお気に入りのミッフィーグッズをいくつかご紹介したいと思います。
人形はほとんど貰い物です。
白いミッフィーが沢山ついてるとシャリみたいで可愛いです。
70周年記念に出た「nijntje(ナインチェ)」のグッズです。ナインチェと読めず、ずっとニジンジェと思ってました。
1955年に誕生してから70年。小さな白いうさぎは、世界中の子どもたちや大人たちに愛され続けてきました。これからもミッフィーは、次の世代へと受け継がれて愛されていくでしょうね。