皆さんは、日本を代表するホラー漫画家の伊藤潤二先生をご存知でしょうか?その独特な世界観と、一度見たら忘れられない強烈なビジュアルは、国内外で多くのファンを魅了し続けています。今回、そんな伊藤潤二の世界を堪能できる「伊藤潤二展『誘惑』」が福岡で開催されると聞き、足を運んでまいりました!
会場の様子や展示内容、そして伊藤潤二の魅力についてご紹介したいと思います。
恐怖の巨匠、伊藤潤二とは何者か?
伊藤潤二は、1963年岐阜県中津川市生まれのホラー漫画家です。歯科技工士の職に就くも漫画への情熱を捨てきれず、1986年に投稿作『富江』でデビュー。この作品は後に代表作となります。
その後、漫画家業に専念し、『道のない街』『首吊り気球』『双一』シリーズ、『うずまき』『ギョ』など、数々の名作を発表。日常に潜む不気味な恐怖と、それを美しくも恐ろしく描く独特の作風で唯一無二の世界観を築き上げました。
私が伊藤潤二作品を知ったきっかけは、2000年に公開された実写映画『うずまき』です。日常が少しずつ「うずまき」の呪いに侵されていく狂気的な様子が衝撃的でした!
伊藤潤二の作品は海外でも高く評価されており、米国アイズナー賞を4度受賞したほか、仏国アングレーム国際漫画祭で「特別栄誉賞」、米国サンディエゴ・コミコンで「インクポット賞」を受賞するなど、世界中でその才能が認められています。
一度見たら忘れられない!人気キャラクターたち
伊藤潤二作品には、一度見たら忘れられない強烈なキャラクターたちが数多く存在します。妖艶な美しさで男たちを惑わし破滅させる「富江」。人を呪い、いたずらを繰り返す不気味な少年「双一」。そして、その姿を見た者は不幸になるという「四つ辻の美少年」。彼らの存在は、伊藤潤二ワールドを語る上で欠かせません。今回の展示でも、これらの人気キャラクターたちの原画や、その魅力を再確認できるような展示が多数ありました!
恐怖と美が交錯する空間~「誘惑」展の魅力に迫る!
いよいよ展覧会の様子をご紹介しましょう。「誘惑」というテーマが示す通り、会場は美しくも妖しい魅力に満ち溢れていました。一歩足を踏み入れると、そこはまさに伊藤潤二先生の描く異質な世界。
(入り口には人気キャラクターの富江と伊藤潤二先生の直筆サインがお出迎え)
(サインにも富江が!)
富江
その不死身の肉体と人を狂わせる美貌が特徴で、どれほどバラバラにされてもその細胞一つ一つから再生し、新たな富江として蘇ります。彼女の妖しい魅力に取り憑かれた男たちは、やがて独占欲から富江を殺害し、その体をバラバラにしてしまいます。しかし、それこそが新たな富江を生み出す無限のループとなるのです。富江はただ美しいだけでなく、冷酷で傲慢、そして残忍な一面も持ち合わせています。この複雑な魅力こそが、伊藤潤二作品の中でも一番人気のキャラクターです。
富江は近年ファッション業界で大きな注目を集めており、多くのアパレルブランドやサンリオとのコラボレーションをしています。
(サンリオとコラボレーションしてギャルになった富江)
展示の方に戻ります。
富江の貴重な原画が沢山飾られていました!
(細部まで書き込みが凄いです)
(誘惑のポスターになっている富江の原画です!富江が抱いているのは多分?再生してる富江です)
(富江の漫画の原画です。傲慢な富江が垣間見えます。)
(富江の代表的なイメージの一つに、『二つの顔』の描写があります)
(迫力満点のカラーイラスト)
(立体作品もありました!)
展示会場の入り口では、人気キャラクターである四つ辻の美少年の「恋みくじ」を1人一回引くことができました。ちなみにこの恋みくじ、ほとんど大凶が出るという不穏なおみくじです。
(大凶でした!)
四つ辻の美少年
四つ辻の美少年は、『死びとの恋わずらい』という話に登場するキャラクターです。霧深い夜の四つ辻に現れる謎めいた存在です。彼の美しさに惹かれ、悩み事を相談した者は、彼が告げる「予言」によって必ず破滅へと導かれます。その予言は常に残酷な真実を突きつけ、相談者を絶望の淵に突き落とすのです。
(先ほど紹介した「うずまき」のカラーイラストや漫画の原画です)
(人気キャラクター「双一」の原画です。子供の頃の双一)
(双一のカラー原画)
双一
双一は、常に釘を口にくわえ、呪術やオカルトに異常な執着を見せる少年です。彼の特徴は、陰気でひねくれた性格と、周囲を巻き込む奇妙な「悪戯」の数々。呪いや人形、藁人形などを用いて、クラスメイトや家族を恐怖に陥れようとしますが、いつもどこか間が抜けていたり、自滅したりと、ホラーとコメディが絶妙に融合したキャラクターとして描かれています。
(これは私も好きな作品で「首吊り気球」という漫画の原画です。)
首吊り気球
「首吊り気球」は、ある日突然、空に無数の巨大な顔の形をした気球が現れるところから始まります。気球は、地上にいる人間の顔そっくりにできていて気球の下には首吊り縄がぶら下がっており、そっくりの顔を持つ本人を追いかけ回し、捕まえて首を吊ろうとします。人々は空からの恐怖に怯え気球から逃げ惑いますが、気球はどこまでも追いかけてきて、逃れられません。最終的に捕まった人々は自分の顔そっくりの気球に首を吊られて殺されてしまうという話です。
伊藤潤二の漫画は、ただ怖いだけでなくホラー作品とは違う、意外な日常を描いた作品もあります。「伊藤潤二の猫日記 よん&むー」は、ホラー漫画の巨匠・伊藤潤二先生が、二匹の猫「よん」と「むー」との暮らしを綴ったエッセイ漫画です。猫との出会いや日々の出来事が、先生ならではのシュールでコミカルなタッチで描かれています。
(個人的に好きな原画です)
他にも本人のエッセイ漫画の原画もありました。
人気キャラクターを組み合わせたカラーイラストなども!
展示の数が多くて見応えがあり、会場全体が伊藤潤二の世界へと誘い込むような、没入感あふれる空間となっていました。
展示を楽しんだ後には、物販コーナーがあり、Tシャツやクリアファイル、キーホルダーなど、伊藤潤二作品の世界観を存分に楽しめる多種多様なグッズが並んでいました。撮影禁止だったのでお見せできませんが、どれもこれも魅力的でした!私はTシャツとポストカードを買って帰りました。
今回の展示は、伊藤潤二の魅力を存分に伝える素晴らしいものでした。すでに展示は終了してしまいましたが、その余韻は今も心に残っています。