~悪気はなくても、それアウトです~
「うちの会社、雰囲気いいんですよ〜。リラックスして、気楽に話してくださいね!」そう言いながら始まった面接で、「ご両親は何してるの?」「ご実家は持ち家?」「尊敬する人は誰?」…って、えっ、これって聞いていいの!?じつは、面接では「聞いちゃいけない質問」って結構たくさんあるんです。知らずにポロッと聞いちゃうと、最悪、就職差別につながることも…。今回は、企業の採用担当者や、これから採用面接に関わる方に向けて、「面接で聞いちゃダメな質問」を紹介していきます。
そもそも、なぜ“聞いちゃいけない質問”があるのか?
採用選考において重要なのは、応募者の「人柄」や「仕事に対する意欲」「スキルや適性」です。ところが、実際の面接では、応募者の背景や家庭環境、思想信条など、本人の努力ではどうしようもないことに関する質問がなされてしまうことがあります。これは、無意識のうちに応募者を「属性」で判断してしまう差別的な選考につながり、法的・倫理的に問題があるだけでなく、企業のイメージダウンや炎上リスクにも直結しかねません。たとえ善意からの会話だったとしても、「採用の場」では慎重になるべきことがあります。
聞いたらダメな質問ってどんなの?
面接で本当に大事なのは「その人が仕事をこなせるか」「会社にフィットするか」です。ところが、無意識にこんな地雷質問を踏んでいるケースがあります。
✕ 出身地や本籍
「本籍はどこ?」「親はどこの出身?」
→ これは、地域や出自で偏見が生まれるおそれアリ。差別の温床になりがち。
✕ 住んでる場所や家の様子
「○○町のどのへん?」「家の近くに何があるの?」
→ どんな環境で暮らしてるかって…それって採用に必要?
✕ 家族構成や職業
「ご両親の職業は?」「家の収入ってどのくらい?」
→ いやいや、それって本人の能力と関係ないですよね。
✕ 資産情報
「家は持ち家?」「土地どのくらい持ってるの?」
→ 面接で“資産調査”って、もはや別の業界みたい…。
✕ 信条や宗教、支持政党など
「家の宗教は?」「どの政党を応援してるの?」
→ 日本国憲法にもある“思想・信条の自由”に、真っ向から違反してます。
✕ 結婚・出産に関すること
「結婚したら仕事続ける?」「女性は続けるの大変だけど、大丈夫?」
→ 男女雇用機会均等法に完全アウト。性別による差別です。
こんなやり取り、まさかしてませんよね?
以下は、ハローワークが指導した実際の面接の一例です。
「女性はすぐ辞めるだろう」「男ばかりの職場だが大丈夫か」
「彼氏はいるのか」「女の人にはお茶くみをお願いしたい」
「自宅の近くには何がありますか?」という名目で住環境を探る
「家業は?」「両親の有無」「家は持ち家?」といった家族・資産情報の質問
作文のテーマが「私の家族」であった
これらはすべて、応募者の自由や人格を尊重しない不適切な行為です。
企業にとって採用は「未来の仲間を選ぶ場」。だからこそ、選考はフェアじゃなきゃいけません。
「何を聞いたらダメか」を知るのは、単なるコンプラ対応ではなく、その人の人生と真剣に向き合う姿勢が大切です。
たとえ本人から話してきても、止めてあげて!
面接では、ときに応募者自身が家族のことを自発的に話し始める場面があります。たとえば「父は医者でして…」「母は専業主婦なんですが…」といったように、自分の背景や育った環境を語ることで、少しでも自分を理解してほしいという気持ちが表れていることもあります。しかし、たとえ相手が話し出したとしても、企業側としては「それが選考の判断材料になることはない」という姿勢を明確に伝えることがとても大切です。そんなときは、やんわりと、でもきっぱりとこう伝えましょう。「ありがとうございます。ただ、そのようなご家族の情報は選考には関係ありませんので、お気になさらずに。」この一言があるだけで、応募者は「ちゃんと見てくれている」「必要以上に詮索されない」という安心感と信頼感を持つことができます。その結果、より自然体で、力を発揮しやすい面接環境にもつながります。
まとめ
面接はお見合いです。
企業が応募者を見ていると同時に、応募者も企業を見ています。
「うちの会社、雰囲気悪そう…」
「人権意識ないのかな…」
そんな印象を与えたら、どれだけ優秀な人材でも去ってしまいます。
だから、
・応募者の“能力”と“人柄”に集中する
・背景やプライベートには踏み込まない
この2つを守ることが、公正な採用の第一歩!
「聞いちゃダメな質問」、ちゃんとチェックして、自信を持って“いい面接”をしましょう!